■
- 作者: パット・マガー,中野圭二
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1984/02/03
- メディア: 文庫
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
第二次世界大戦下、異郷の地に駐屯するぼくら海兵隊員の唯一の楽しみは、故国からの新聞や雑誌を回し読みすること。そんなある日、新聞で、出征前に勤めていた〈家善協〉でぼくのボスが殺人を犯したのを知った。でも、記事がちぎれているので被害者がわからない。そこで、ぼくの話をもとに戦友仲間で被害者捜しをする運びに…。
『四人の女』を読んで大好きになったパット・マガーのデビュー作。
殺人事件も犯人も分かっているけど被害者がわからない、という状況の設定がやっぱり面白い。
そして登場人物の描き分けが絶妙。
何度も振り返って人物表を確認せずとも、頭の中には自然と〈家善協〉のメンバーの顔が浮かび上がる。
確かに『七人のおば』『四人の女』に比べると、ほとんど語られない人物がいたり冗長だったりする部分はあるのだが、やっぱりとても面白い。
ラストで届く、語り手ピートの女友達シーラからの、答えを明かす手紙が辛辣なのが、クスッとできてとても好き。
今刊行されているパット・マガーの5作品の内、読んでないのはもう『目撃者を捜せ』のみ。
もったいなくてしばらく読めない…。
余談ですが、最近の複雑で重いミステリーよりも、ちょっと古めの300ページくらいのミステリのほうが、私には合ってるかもと思う今日この頃。
ただ単に集中力がなくなってきただけかもしれないけど。