生きていてもいいかしら日記 (PHP文芸文庫)

生きていてもいいかしら日記 (PHP文芸文庫)

40代、独身。好きなもの、昼酒。座右の銘は「好奇心は身を滅ぼす」。“いいとこなし”に見えるけれど、なぜかおかしいキミコの日々。「結婚しないの?」と聞かれた時の答え方、圧力鍋との15年戦争、父のゴミ分別の不可解なルール、朝はなぜ眠いかについての考察など、日常の出来事に無駄な妄想で切り込んでいく。読んでも何の役にも立たないけれど、思わず笑いがこみあげて、不思議と元気が出てくるエッセイ集

予想の斜め上じゃなく斜め下を行くと言ったほうがよさそうなゆるエッセイ(褒めてる)。
あまりの脱力エピソードと無駄な妄想のオンパレードで思わず笑ってしまう。
40代、こんな感じに楽しく生きていいんだ!と気持ちが明るくなってくる。


一番笑ったのは、「人生を変えた偉人伝」。
これだけ見ると自己啓発本に出てきそうな章のタイトルなのに…(笑)。

だって好きなの、偉人伝。幼いころから好きで、おかげで「世の中には努力して頑張ってる人がこんなにいるのだから、私はそれほど頑張らなくていいや」という人生観を確立できた。これは今でもしっかりと根付いていて、「世の中には働いている人がこんなにたくさんいるのだから、私はビール飲んで寝ててもいいや」と昼下がりの回転寿司で思うと心がぐっと楽になる。偉人のおかげだろう。

最後の「偉人のおかげだろう」ってのがもう!!!(笑)

これを読んで、うちの坊が学校で伊能忠敬の伝記を読んで感想文を書かされた時のことを思い出した。
その感想文には「家業や村のための仕事が終わって、ようやく隠居ができるのに、日本中を歩いて測量したり地図を作るなどというしんどいことをやった伊能忠敬は変だ。そんな疲れることはせずに家でごろごろしていればいいのに。」と書いてあった…。
その感想文が担任の先生の逆鱗に触れたため個別面談で私が怒られ、たいそう落ち込んだのだが、その事件の前にこの本を読んでいたら、こういう子もいるんだから…って思えたかもしれないな。