林の中の古びた洋館――それが私立野々宮図書館だ。ここに所蔵されている本は、どれも犯罪や事件に関係のあった本ばかり。殺人現場で被害者が抱いていた本や、連続殺人犯が愛読していた本、首吊り自殺の踏み台として使われた本など……。この一風変わった図書館に住み込みで勤めることになった松永三記子。彼女が書庫の本を手に取ると、その本にまつわる不思議な出来事が次々と起こるのだった。一冊の「本」が引き起こす様々な事件を描く連作小説集。

赤川次郎さんの作品読むのって25年ぶりくらいかな?中高生のころ、コバルト文庫から出てた吸血鬼シリーズ、三毛猫ホームズシリーズ、映画になった「セーラー服と機関銃」、「幽霊列車」「死者の学園祭」「晴れ、時々殺人」などなど、いっぱい読んだなぁ。懐かしい。

余談はさておき、この作品。 幽霊が出るのはともかくとして、いわくつきの本ばかり集めた図書館が舞台で、主人公はそこそこ危険な目に合うし、殺人事件も起こるし、考えてみると結構ヘビーになっても不思議じゃない内容。だけど、めちゃくちゃライト。 重くなりがちなディテールをすべてそぎ取って、さらにライトに味付けしたような。この軽さこそが赤川次郎なんだろう。 最近の重厚なミステリにちょっと疲れたところだったので、新鮮で楽しかった。