最悪の結末、不安な幕切れ、絶望の最終行。文豪・夏目漱石の不吉きわまりない掌編で幕を開ける「後味の悪い小説アンソロジー。人間の恐布を追究する実験がもたらした凄惨な事件を描くC・バーカー「恐怖の探究」、寝室に幽閉される女性が陥る狂気を抉り出すC・P・ギルマンの名作「黄色い壁紙」他全十編。

『厭な物語』の第二弾『もっと厭な物語』。前回の『厭な物語』はギャー!っと叫びたくなるような嫌さだったけど、今回のは黒板を引っ掻く音をエンドレスで聞かされるような嫌さ。

今回気に入ったのは、狂気を孕んだエドワード・ケアリー「私の仕事を邪魔する隣人たちに関する報告書」、シャーロット・バーキンズ・ギルマン「黄色い壁紙」、悪夢のようなアルフレッド・ノイズ「深夜急行」、オーメンのようなスタンリィ・エリン「ロバート」、心理サスペンス的な物語と思いきや後半一気に血みどろになるクライヴ・バーガー「恐怖の探究」。

そして解説も。作品そのものの解説だけでなく、その作者のほかの作品、それらが収録されているアンソロジー等が紹介されており、これが気に入ったら次にこれを読むといいよ的な解説なので 重宝すること間違いなし。積読本は増えそうですが…。